新型コロナウイルス感染症拡大防止の評価は公費で行うべき〜利用者の自己負担の撤回を求める要望書を提出しました〜

厚生労働省から6月1日付けで「新型コロナウイルス感染症に係る介護サービス事業所の人員基準等の臨時的の取り扱いについて」という事務連絡がありました。新型コロナウィルス感染症が拡大する中、特に、その影響が心配されるご高齢の方たちが利用するデイサービスやショートステイサービス事業所への、「感染拡大防止の評価」として、本来よりも2区分上位の報酬を算定しても良いという内容でした。

介護報酬の1~3割(所得に応じて)は、サービス利用者が負担する仕組みとなっていますので、上位の報酬を得るためには、利用者により多くの負担をしてもらうことになります。ですから、今回の特例措置も、利用者からの同意を得ることが条件となっています。
しかし、利用者に対して、実際には利用してもいないサービスの負担を求めることは、本来あってはならないことで、この通知の取り扱いについて利用者や家族、事業者からも戸惑いや怒りの声が上がっています。

そこで、7月30日ピッピ親子サポートネットも参加する横浜ユニット連絡会のメンバーとして、「介護の崩壊をさせない実行員会」と賛同団体で、厚生労働大臣宛てに「新型コロナウイルス感染症に係る介護報酬の特別措置によるサービス利用者の自己負担の撤回を求める要望書」提出しました。

参加したケアマネジャーからは、いくつもの事例が報告されています。
例えば、利用者・家族に十分な説明もなく「同意」されたケースが散見される。同意されない場合、上位の報酬を算定できないとなれば、同じサービスを利用する人の中に、自己負担が増える人(合意した)とそうではない人が生じてしまい不公平になるとの指摘もありました。

特に、介護保険を利用する際の限度額をオーバーした場合は、利用者が報酬相当額の10割を負担することになり、その負担は大変大きくなります。既に、限度額ギリギリまで利用をしている人については、特例措置の影響が大きく、「あえて算定しない」、「不公平になるので10割負担を請求する」など現場の判断も分かれているといった状況が報告されました。

私たちは、利用もしていないサービスの利用料を利用者が負担することによって生み出される財源で「感染拡大防止の評価」行うことには賛成できません。このような措置は、利用者と事業者の信頼関係を崩すだけでなく、介護保険制度への信頼を揺るがしかねません。
「感染拡大防止の評価」は、公費によって行うべきです。 引き続き、現場から声を上げていきます。
(デイサービスさくら 柳橋小夜子)