熟議を重ねて〜想像する力をつけたい〜

総務省の人口推計によると、今年1月1日時点の新成人は109万人で、統計を取り始めた1968年以来で最少となった2024年の106万人に次ぎ2番目に少ないそうです。少子化の流れは労働力不足に直結し、あらゆる場面で生産性の向上が求められ、今や保育や介護といった福祉分野も例外ではなくなっています。
 若い世代を中心に、「時間対効果=タイムパフォーマンス(タイパ)」を重視する考え方が広がる昨今ですが、「早く」と「良く」を同時に進める事はそう簡単ではありません。
 コロナ禍以降、私たちの現場でもデジタル技術やテレワークの導入が加速しましたが、人と人との関係性を意識する福祉現場では、相手の表情や声のトーン、しぐさと言った非言語的情報の重要性が再認識される機会にもなりました。

「違和感」「もやもや感」が大事

 2025年は、事業の統合・再編にも取り組みました。相談支援事業とアウトリーチ型子育て支援の2つの事業を統合し、この事業を運営するワーカーズ・コレクティブ(W.Co)ぷらっとが誕生しました。相談支援専門員やヘルパー、保育士、看護師も参加するぷらっとは、相談支援チームとして各事業のケース会議のコーディネートも担います。また、ピッピ保育園はピッピみんなの保育園に移転・統合し新しい生活が始まりました。新しいチームでの仕事を通じて気づきや発見も生まれますが、それは時として「違和感」や「もやもや感」などと表現されることもあります。相談支援チームは、その違和感を言語化してみようと働きかけました。ケース検討の過程ではさらに深い洞察が求められ、発見もあります。あらためて、私たちは「違和感」や「もやもや感」をキャッチする力こそが大事だと気付かされます。

答えは一つじゃない

 思い出されるのは、20年前に調理ワーカーとして働き始めた頃、豆腐を「さいの目」に切るという作業で感じた私の違和感。どのサイズが給食の味噌汁に相応しいさいの目なのかという問いから出発した議論でした。答えは一つじゃないかもしれないけれど、誰が作っても同じ給食を提供できるワーカーズになる、そのための「味の民主主義」のプロセスであったと思います。それこそ、全員が経営者として経営に責任を持ち全員で働き、働いた結果を自分たちの責任で引き受けるW.Coの醍醐味です。
 W.Coとして、またNPO法人と協働し、議論を重ねていくことは時間がかかりスマートに行かないことも多いのですが、大切なのは生活者として想像する姿勢、そして、時に変わる事も選択し「早く」と「良く」をバランスさせた歩みを進めること。私たちは、これからも現場で出会う小さな気づきを入り口に、いくつもの「かもしれない」を予測し熟議を重ねていきたいと思います。
(理事長 若林智子)

 

トピックス

前の記事

つながるを重ねる