多世代の居場所づくり「大場町みんなのいえのあゆみとこれから」

9月27日、ワーカーズ・コレクティブさんりん舎が、(一社)市民連帯経済つながるかながわ横浜北まちづくり会議主催の居場所交流会に参加し、大場町みんなのいえの活動を報告しました。

大場町みんなのいえのあゆみ
大場町みんなのいえが生まれたきっかけは、空き家の所有者であるオーナーから「この建物をぜひ地域に役立つことに使ってほしい」という打診からでした。
空き家は開発から50年〜60年が経過した高台の住宅街にありました。高齢化が進む一方で、近年は世代の入れ替わりも少しずつ見られる地域にある空き家=平屋建ての一軒家。私たちは、ゆったりとした「台所」という空間に着目しました。 「この台所を生かして、これまで法人が培ってきた子育て支援と高齢者介護の事業経験を組み合わせ、赤ちゃんからお年寄りまでが集える居場所が作れないか」と考えました。
持続可能な事業として成り立たせるために、「まちの台所」、「定員6名の小規模保育室大場りとるピッピ」、「定員6名の小規模デイサービスさくら」という3つの事業を1つの建物の中に併設するモデルを構想し、2013年4月に「大場町みんなのいえ わたせハウス」が開所しました。

「まちの台所」は、デイサービスのご利用者に提供する食事作りからスタートし、ほどなく、近隣の住民の方々がランチを食べにいらして、活気のある台所へと育っていきました。 近所に住む高齢の男性は、手作りの家庭料理を大変気に入ってくださり、足しげく通って来られました。食をきっかけに人が集まるようになると、今度は「自主サークル」が自然発生的に生まれていきました。 最初にやって来たのは、90代の女性たちによる麻雀グループでした。続いて手芸サークルの皆さんが集まり、さらに歌が大好きな方々がミニコンサートを開くようになりました。この歌の集まりは、のちに「うたごえサロン」へと発展していきました。
大場町周辺は住宅開発が進む一方で、今なお豊かな田園風景や農地が残っている魅力的な地域です。 大場りとるピッピの子どもたちが、お散歩に出かけると、近隣の農家さんや地域の方々が「可愛いね」と温かく声をかけてくださり、時には採れたての新鮮な野菜をプレゼントしていただくこともあります。 小さな子どもたちが元気に走り回り、笑い合う声や存在そのものが、地域のお年寄りや住民の方々にとって大きな元気と癒やしの源になっているのではないかと思います。

大場町みんなのいえ「今」と「これから」
2020年からのコロナ禍により、人々が集まり食を共にする活動は一時大きな制限を余儀なくされましたが、再開したサロンは、より音楽と食が深く結びついた新しい日常につながりつつあります。 みんなで楽しく歌ったあとは、手作りの温かい昼食を囲んでおしゃべりを楽しむ。食卓を囲んで笑顔が弾ける時間は、参加者にとってもスタッフにとっても元気になれる時間です。 また、健康体操や、看護師や専門スタッフに体調や生活の悩みを気楽に話せる「地域の健康相談窓口」として、場を開いています。
また、2025年9月からは、新しい試みとして「月1回のお弁当配布・配送」の事業を開始いたしました。毎回約20食のお弁当を用意しています。

一方で、「介護保険制度」という厳格な枠組みや制度上のルールを守ることと、地域に開かれた「自由で柔軟なサロン活動」を同じ空間で両立させることの難しさも見えてきました。
熟慮を重ねた結果、私たちは2026年6月末をもって「デイサービスさくら」を閉所するという決断を下しましたが、13年間の介護事業を通じて培ったケアの技術やマネジメント力を生かした活動を展開したいと思っています。例えば、うたごえサロンを利用される方の送迎を担ったり、健康相談を窓口にした生活支援など、色々な可能性が見えています。 また、デイサービスを卒業された元利用者さんが、閉所後もご家族と一緒に「うたごえサロン」に参加してくださるなど、制度を超えたつながりが生まれています。
「大場町みんなのいえ」は、これからも食を軸にして、人々が集い支え合うことをめざして、地域の皆さんと共に変化していきたいと思います。

*居場所交流会は、「孤立」が社会問題になっている今、顔の見える関係からおたがいさまのたすけあいをつくる取り組みを知り、身近なところから自分ができることを考える機会として開催されています。

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