2024年 新春に寄せて

ピッピ・親子サポートネット 理事長 若林智子

元旦に能登半島を襲った大地震は、日を追って被害の大きさが明らかになっている状況です。家族や友人、住み慣れた我が家や慣れ親しんだ街並みを失った喪失感を思うと、言葉が出ません。

 地域おこし協力隊として珠洲市に移り住み、一人暮らしをしている従姪と連絡が取れたのは2日の深夜で、「決死の覚悟で迂回しまくりながらなんとか飯田まで出て情報収集や物資調達した」とありました。高齢化が進む集落の中で、従姪はおそらく「若者」なのでしょうが、さぞ怖かったでしょう。「食料を各家から持ち寄って、お母さま方の温かくて美味しい料理をたべている」というエピソードも添えられ、つながる力がセーフティネットなのだと実感を持って伝えてくれました。

 つながる=地域おやこ園をめざして
 私たちもまた、「お互い様」の顔の見える関係をつくるというまちづくりの原点に立ち、次の一歩を踏み出したいと思います。昨年より、ポストコロナの動きが加速する中で、ピッピも「場」をひらく取り組みを進めています。

 2005年に開所したピッピ保育園は、2024年度末をもってピッピみんなの保育園へ移転・統合となります。ピッピ保育園では、長年お世話になった地域の皆さんに向けた親子支援を再開、毎週小さなお客さんが訪ねてくれます。「ピッピ保育園地域への感謝プロジェクト」と題したこの取り組みでは、インターンシップの学生も活躍中です。

ピッピ・夕暮れ食堂スタート
 昨年9月からは、「ピッピ・夕暮れ食堂」もようやく始動。ボランティアチームが運営する夕暮れ食堂には、毎回、保育園帰りの親子や、再会を楽しみにしていた卒園児のみなさん、近所に引っ越してきたばかりで知り合いもいなくて…というご家族、そしてピッピスタッフと、大ぜい集まります。保育園を起点として、多様なバックグラウンドを持つ人たちとつながり、協働することで新たな価値が生まれ始めています。

 分断や対立、無関心こそが、弱い立場にある人々をより困難な状況に追いやってしまいます。私たちは、未来を担う若い世代とともに、福祉現場や地域社会で起きている事や政策・制度、政治にも関心を寄せ声をあげ、行動する存在でありたいと思います。
今年もよろしくお願いいたします。