「放課後等デイサービス」現場から制度を考える
となりのいえでは、放課後等デイサービスが事業化される前から、法人独自の居場所事業として、その後に横浜市の独自事業「障害児居場所づくり事業」として、支援の必要な子どもたちのための放課後事業を展開してきました。現在は、学童保育、計画相談支援事業も合わせ3つの事業を実施しています。
児童福祉法の一部が改正され「放課後等デイサービス事業」がスタートしたのが2012年4月。以来、一気に事業所は広がリましたが、支援の内容は多様で、例えば、補習や習い事、スポーツなどを中心とした学習塾型の事業所もあれば、余暇活動、宿題支援、地域交流を重視した学童保育型、また、療育支援型や、レスパイト・ケア提供型の事業所もあります。開所時間もまちまちです。
これらの事業所が一律の報酬となっていることに、私たちは疑問を感じていました。
(社会保障審議会障害者部会 資料 2017年資料)
そんな中で、2018年度には報酬改定が行われ、一律の単価設定となっていた報酬が見直されました。具体的には、障害児の状態像を勘案した指標によって児童を判定した上で「指標該当児」(特に支援を必要とする児童)を全児童の50%以上受け入れている事業と、それ以外の事業所の報酬を区分する仕組みが導入されました。サービス提供時間についても、3時間以上(通常時間)か3時間未満 (短時間)かで報酬が変わります。同時に指導員加配加算も見直されています。
見直しの結果となりのいえの放課後等デイサービス事業は増収となり、私たちは、改めて中重度の方たちを受け入れてきたことに気づきました。一方で、減収となった事業所もあるようで、次期報酬改定に向けては、指標判定や報酬区分の廃止を求めるような意見も出されており、様々な評価があることを知りました。
私たちは、事業所の形態により、4段階に基本報酬を区分したことは評価しつつ、障害の状態像がより適切に判断できるように、特に、発達障害児の居場所を狭めることにないよう指標を見直すことは必要だと考えています。
放課後等デイサービスが急増する中、子ども支援の立場で利用調整する必要性も感じ計画相談支援事業も始めました。将来につながる計画を立てる中で、気づかされることもたくさんあります。また、ピッピ親子サポートネットでは、保育・子育てや介護事業も含めソーシャルワークに取り組んでいますが、そこに相談支援事業の経験が生かされることを実感しています。
2020年度中には、第4期横浜市障害者プランも策定されます。国では、報酬改定の概要の取りまとめも行われます。そうした動きも捉えて、現場からの策提案にも取り組んでいきます。
(副理事長 若林智子)