子ども・子育て新システム

未来の子どもたちのために必要なこと

 今国会で提案されている「社会保障と税の一体改革」の中に位置づけられた「子ども・子育て新システム」、いよいよ方向性が見えつつあるようです。
 OECD諸国の中でも、GDPに対して子どもにかけるお金の割合が、とても低い国と言われ続けてきた日本、ようやく、全ての子どもとその家庭に必要な支援を社会全体で行うという理念を実現するシステム。消費税値上げ分の7千億円プラス3千億円の財源を子どものために使うことが約束されるのか、「協議」で骨抜きにならないことを祈るばかりです。

 待機児問題と幼保一体化?
 この新システムで、問題となって来たのは「幼保一体化」。児童福祉法に基づく保育園と学校教育に位置づけられた幼稚園を制度として一本化して「総合子ども園」にしようというもの。結局、反対が強くて見直しのようです。でも、このために全体のシステム改革が進まないのも本末転倒です。全て一律にする必要はないのではないでしょうか?
 0、1歳の間は、小規模で家庭的な保育環境が子どもの育ちにとてもよい、ということを私たちは「りとるピッピ」で実感しました。小規模な家庭的な保育室が近くにあって利用できて、3歳になったら保育園や幼稚園を選ぶということも、あってよいのでは?
 さらに、子どもが小さいうちは週1日、2〜3日と少しづつ仕事を始めたいとうニーズも高くピッピ保育園、さくらの森保育園、ここ・はっぴいでの一時預かり保育は、4〜6割がこのための利用です。一方で、仕事以外での一時預かりのニーズも増え続けています。(利用者へのアンケート結果:グラフ)
スタートして改善を
 待機児というと、やれ認可保育園をつくる、幼保一体化だ、と言われますが、もっと多様な保育サービスが広がることの方が必要なのです。そんな意味でも、今回の新システムは、各自治体が必要な子育て支援策について調査をした上で計画を立て実行することが責務となります。また子育て当事者も関わる「子ども子育て会議」の設置が謳われています。
 厚生労働省の調査結果で、一人の女性が一生のうちに子を産む率が1.39と発表されました。働いていても居なくても子育てしやすいしくみ、子育てと仕事が両立できる(ワークライフバランス)社会にしなければ、女性たちは子どもを産み育てたいと思えません。新しいシステムをスタートし、さらに改善していく姿勢が大事だと思います。 (ピッピ・親子サポートネット理事長 友澤ゆみ子)